質量分析入門

質量分析入門

質量分析について

質量分析について

この入門書では、最新の質量分析の実践に関連する幅広いトピックを扱っており、質量分析計の使用および機能についてのよくある質問の一部に答えています。専門家以外の方向けに詳細な内容を記載した記事へのリンクもあります。1 つ目のセクションでは、質量分析計を使用するのは誰かについて検討し、続いて、質量分析計での分析のためにイオン源で化合物をイオン化する方法について説明します。次はさまざまな種類の質量分析計の説明で、質量精度および分解能(密接に関連した化合物を区別できる程度)など、重要なトピックについて説明します。ケミストリー、サンプル調製、データ処理、並びに現在の MS の実践において最もよく用いられている用語の定義についても検討しています。

質量分析の簡単な歴史

  • 1897 年 – 現在の質量分析(MS)は、英国マンチェスターの J.J. Thomson による陰極線管実験が最初とされています。
  • 1953 年 – Wolfgang Paul による四重極および四重極イオントラップの発明に対して、ノーベル物理学賞が授与されました。
  • 1968 年 – Malcolm Dole が現在のエレクトロスプレーイオン化(ESI)を開発しましたが、ほとんど注目されませんでした。真空中でエアロゾルを生成して蒸気にすることは実用化が難しいと考えられました。液体は凝縮した状態から 100 ~ 1000 倍に体積増加する可能性があります(標準状態では 1 mL/分の水が 1 L/分の蒸気になります)。
  • 1974 年 – Horning により、主にガスクロマトグラフィー(GC)に基づいた大気圧化学イオン化(APCI)が開発されましたが、APCI は幅広くは普及しませんでした。
  • 1983 年 – Vestal および Blakely の液体流を加熱する研究が、サーモスプレーとして知られるようになりました。これが現在市販されている装置の先駆けになりました。
  • 1984 年 – Fenn の ESI についての研究が発表され、1988 年に発表されたノーベル賞を受賞した研究につながりました。

MS を使用するのは誰か。

質量分析(MS)を検討する前に、実施する分析の種類や、それから期待される結果を検討する必要があります。

  • タンパク質やペプチドのような高分子を分析するのか、あるいは低分子量の水系分子のデータを得るのか?
  • 対象化合物の決まったレベルの詳細を調べるのか、あるいは未知サンプルの特性解析を行うのか?
  • 現行の分離は頑健か、あるいは複雑なマトリックスからの分析法を開発する必要があるのか?
  • 必要な質量精度の単位は、例えば 400 MW(5 ppm)か 400.0125 MW(質量 400 で 2 mDa)か?
  • 1 日で解析する必要があるサンプルの数は数百件か?それとも数千件、数万件か?
分析種の特性を決定する能力は、装置の機能とともに向上する

化学、生化学、物理学などのさまざまな分野の研究者や技術者が、日常的に質量分析を使用しています。創薬および開発に携わる製薬業界の研究者は、MS の特異性、ダイナミックレンジ、感度に頼って、複雑なマトリックス中の密接に関連する代謝物を区別し、代謝物を同定および定量しています。特に創薬においては、合成後の化合物同定および純度、並びに初期の薬物動態の決定を行い、これらに MS は不可欠です。

生化学者は、MS の用途をタンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチドの分析に広げています。質量分析計を使用して、酵素反応のモニタリング、アミノ酸配列の確認、タンパク質分解フラグメントに由来するサンプルが含まれるデータベースからの高分子タンパク質の同定が行われています。また、水素重水素交換試験によるタンパク質のフォールディングのモニタリングや、生理的条件での重要なタンパク質リガンド複合体形成のモニタリングを行っています。

臨床ケミストも MS を採用し、結果があまり確実でない免疫測定法の代替として、薬物検査や新生児スクリーニングに用いています。食品の安全性および環境を対象とする研究者も同様です。彼らおよび連携している業界の研究者も、同様の理由により MS を採用するようになり、PAH 分析、PCB 分析、水質検査、食品中の農薬残留物の測定などに用いています。石油の組成決定は複雑で費用がかさむため、当初から質量分析計の開発を促進してきましたが、引き続きテクノロジーの大きな進歩の推進力になっています。

今日、MS のユーザーは、機能が実証された多様な装置で行う、頑健で信頼性が高くなった幅広いイオン化手法の中から選択することが可能になりました。


参考文献:MS - The Practical Art, LCGC

  • Profiles in Practice Series: Metabolism ID and Structural Characterization in Drug Discovery, Vol.23, No.2, February 2005
    • 重要である理由:業界トップレベルの 2 名の技術者が代謝物構造推定に使用しているアプローチを説明し、比較しています。
  • Profiles in Practice Series: Stewards of Drug Discovery-Developing and Maintaining the Future Drug Candidates, Vol.23, No.4, April 2005
    • 重要である理由:大規模な製薬企業および小規模な専門企業の視点から、医薬品候補化合物とライブラリーの開発および取り扱いを比較しています。
  • Profiles in Practice Series: A Revolution in Clinical Chemistry, Vol.23 No.8 August 2005
    • 重要である理由:医療専門家が最近、患者情報の正確性、速度、質を大幅に改善する手段として MS を活用するようになりましたが、この動きは現在も進行中です。
  • Profiles in Practice Series: Advances in Science and Geopolitical Issues (Food Safety), Vol.23 No.10 October 2005
    • 重要である理由:装置がより頑健かつ高感度になるにつれ、MS により規制対象の試験のあり方が変化し、グローバルな結果をもたらしています。

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