• アプリケーションノート

異なる長さや修飾を持つアンチセンスオリゴヌクレオチドの高感度バイオアナリシス

異なる長さや修飾を持つアンチセンスオリゴヌクレオチドの高感度バイオアナリシス

  • Suma Veeramachineni
  • Mark Wrona
  • Waters Corporation

要約

このアプリケーションブリーフでは、さまざまな長さ(18 ~ 33 ヌクレオチド)、リンカー、修飾を持つヒト血漿マトリックス中のオリゴヌクレオチドのバイオアナリシスにおける、Xevo™ TQ Absolute タンデム四重極質量分析計の感度と適合性について実証しています。

左:Waters Acquity Premier UPLC 搭載 Waters Xevo TQ Absolute システム。
右:4 分間のバイオアナリシス LC-MS/MS IP メソッドを使用して得た 5 種の ASO 化合物の代表的な MRM トレース。

アプリケーションのメリット

ACQUITY™ Premier UPLC システムと ACQUITY Premier Oligonucleotide C18 カラムを組み合わせた Xevo TQ Absolute MS では、優れたシステム感度(ng/mL 単位以下)に加えて、オリゴヌクレオチドのクロマトグラフィー回収率が改善し、困難な LC-MS/MS アッセイおよび PK 試験を支援できることが実証されました。

はじめに

以前、GEM91(トレコビルセン)を用いて、感度が高く 5 桁台のダイナミックレンジ性能を有することが示されています1。この試験では、同じ分析法をさまざまな長さおよび修飾のアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)に拡張しています。

実験方法

血漿サンプルに、2’-MOE 修飾塩基、GalNAc 複合体、またはホスホロチオエートリンカー(Eluforsen、Fomivirsen、Mipomersen、Nusinersen、および GalNAc 結合オリゴヌクレオチド)を含む複数の ASO を 0.1 ng/mL ~ 1000 ng/mL になるようにスパイクしました。液-液抽出を使用して血漿標準試料 100 µL を抽出しました。GEM91(100 ng/mL)を内部標準としてすべてのオリゴヌクレオチドの定量に使用しました。100 mM ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP) + 15 mM N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)水溶液および 90% アセトニトリル溶液を、それぞれ移動相 A および B として使用しました。

分析法の完全な詳細については、Waters™ アプリケーションノート 720007574JA を参照してください。

表 1.  試験に使用したオリゴヌクレオチドの詳細

結果および考察

再現性を実証するため、キャリブレーション標準試料を 2 回繰り返し、各 QC レベルの ASO パネル(表 1)を 6 回繰り返し、連続しない 3 日間に 3 回測定しました。表 2 および表 3 に示すように、検量線は、r2 値 > 0.99(1/x2 重み付け)で直線性を示し、ゼロ以外のキャリブレーターレベルおよび QC が > 75% で、各測定で許容基準(LLOQ ではキャリブレーターまたは QC は各測定で公称濃度の ±20% である必要がありますが、ゼロ以外のキャリブレーターおよび QC は ±15% であることが必要)を満たしていました。

表 2.  キャリブレーション標準試料の統計
表 3.  QC サンプルの統計

分析法は、幅広い範囲の親イオンのチャージ状態および得られたフラグメントイオンの質量にわたって評価した、最適化したトランジションを用いて開発しました。ネガティブイオン化モードの検出機能が向上したことで、アッセイでのイオンカウント、S/N、検出限界が改善されました。ヒト血漿の 0.1 ~ 1000 ng/mL のキャリブレーション範囲において、定量下限(LLOQ)0.1 ng/mL(GalNAc オリゴでは 0.2 ng/mL)が得られました。このことは、図 1 の、すべてのオリゴヌクレオチドにおいてレベルが最も低いキャリブレーション標準試料の代表的なクロマトグラムによってわかります。

図 1.  LLOQ レベルのピークを示す代表的なクロマトグラム

結論

  • 異なる長さ(18 ~ 33 nt)およびさまざまなリンカーと修飾を持つヒト血漿中のアンチセンスオリゴヌクレオチドについて、ng/mL 単位以下の感度と、優れたダイナミックレンジ性能が認められました。
  • MaxPeak™ HPS テクノロジーにより非特異的吸着や金属への吸着が低減し、優れた感度で低レベルの検出が可能になりました。
  • Xevo TQ Absolute タンデム質量分析計では、課題となる陰イオン性化合物に対する感度の向上により、生体マトリックス中のアンチセンスオリゴヌクレオチドの LC-MS/MS ベースのルーチン定量において、質の高いデータを生成できるようになりました。

謝辞

著者らは、本実験のために 21 mer の GalNac オリゴヌクレオチドを寄贈して頂いた Greg Jones および Alnylam Pharmaceuticals に感謝致します。
これは、Mary Trudeau によるアプリケーションノート 720007418JA で使用したものと同様です。

参考文献

  1. Suma Veeramachineni, Mark D Wrona, ‘Sensitive LC-MS/MS Bioanalytical Quantitation of Antisense Oligonucleotides’, Waters, Application Notes, 720007574, March 2022.

720007809JA、2022 年 12 月

トップに戻る トップに戻る