電子移動解離(ETD)

電子移動解離(ETD)

翻訳後修飾およびトップダウン生体分子配列を分析する

翻訳後修飾およびトップダウン生体分子配列を分析する

電子移動解離(ETD)機能アップグレードは、エレクトロスプレーイオン化専用で使用するために、信頼性、柔軟性、および使いやすさが最大限に高まるように特別に開発されており、ペプチドやタンパク質の配列決定および構造分析のための強力なプラットホームになります。

ETD は、衝突誘起解離(CID)を補完し、ペプチドおよびタンパク質の不安定な翻訳後修飾(PTM)部位の特定に特に有用であることが証明されています。ETD は、ラジカル駆動型のフラグメンテーション手法であり、ペプチドの N-Cα 結合が切断されて、c および z● ペプチドプロダクトイオン(CID を使用する場合 b イオンおよび y イオンが生じる)が生じ、リン酸化部位の精密な部位特定が可能になります。ペプチド/タンパク質は、ドナーケミカルの陰イオンから正電荷を持つ陽イオンへの電子移動によって解離します。これにより、電子捕獲解離(ECD)と本質的に同様の断片化プロセスが起こります。

ETD Ion Source Block 電子移動解離(ETD)

概要

  • 高性能 - 高分解能の精密質量データおよび高い反応効率により、非常に質の高い配列データが得られます。
  • 柔軟性 - 高度な基礎研究には、さまざまな高効率の試薬を利用するとともに、ETD を用いるイオンモビリティー分離(IMS)を採用しています。従来型エレクトロスプレーイオン源および nanoFlow エレクトロスプレーイオン源の両方での使用に適しています。
  • 使いやすく、メンテナンスが簡単 - ETD グロー放電型イオン源のシンプルさにより、ETD 試薬を MS に簡単に安定して導入でき、迅速に補充することができます。


ETD イオン源の動作

ESI イオン源には、高速で効率的な中間圧グロー放電型試薬陰イオン源が組み込まれています。ETD 実験の間、陽イオンおよび陰イオンが連続して生成されます。イオン源の極性および四重極の設定質量は、多価のプリカーサー陽イオンに続いて、一価の試薬ラジカル陰イオン(通常、1,4-ジシアノベンゼン [m/z 128] 由来)をトラップ T-Wave イオンガイドに送るように切り替えられ、そこで両者が相互作用して ETD プロダクトイオンが生じます。

グロー放電型イオン源で生じた試薬陰イオンは、装置の Triwave トラップ T-Wave イオンガイドにトラップされ、そこで分析種イオンとの迅速電子移動反応が発生します。ETD による多価のペプチドイオンフラグメントからは主に c フラグメントイオンと z フラグメントイオンが生じます。

試薬陰イオンの形成およびトラップと、サンプルイオンの形成および反応は別のプロセスです。装置が ETD モードで動作している場合、トラップ T-Wave イオンガイドに陰イオンを効果的に再充塡するグロー放電モードと、サンプルをイオン化して ETD 試薬陰イオンと反応させる ESI モードが交互に切り替わります。

取り込みの間、トラップ T-Wave イオンガイドは ETD 専用で使用されますが、トランスファー T-Wave イオンガイドは CID 用に使用できる状態のままです。このため、同じ実験で ETD データと CID データの両方を取り込むことができます。


装置適合性

電子移動解離(ETD)機能のアップグレードは、以下の装置で利用できます。

  • (MALDI)SYNAPT G2 MS、(MALDI)SYNAPT G2 HDMS
  • (MALDI)SYNAPT G2-S MS、(MALDI)SYNAPT G2-S HDMS
  • (MALDI)SYNAPT G2-Si MS、(MALDI) SYNAPT G2-Si HDMS

SYNAPT G2-Si 以外、SYNAPT 装置の種類ごとに、2 種類のアップグレード製品が用意されています。これは、「ETD 対応」でない装置に対応するためです。ETD 対応装置は、シリアル番号の接頭辞で識別できます。SYNAPT G2-Si 装置はすべて「ETD 対応」です。

初期の SYNAPT G2 シリーズ MALDI 装置では、ETD 適合 MALDI イオン源アダプタープレートの交換が必要になる場合があります。


装置および据付

電子移動解離(ETD)機能フィールドのアップグレードは、以下で構成されています:

  • ETD グロー放電型イオン源および放電ピン。
  • 試薬サンプルホルダーの蓋、ガス処理ハードウェア、およびバルブ。
  • 交換用イオン源 PCB アセンブリー、トラップおよびトランスファー T-Wave の供給電源、ETD ワイヤハーネス、および追加のソフトウェア。(初期の SYNAPT G2 装置)
  • 交換用イオン源 PCB アセンブリー、および追加のソフトウェア(初期の SYNAPT G2-S 装置)。
  • 操作マニュアルおよび試験用ケミカル。

ウォーターズのフィールドサービスエンジニアによる据付、性能確認、操作トレーニングが必要です。

リソース

ドキュメント

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