SYNAPT G2 MS/HDMS MALDI ソース
化合物の妥協のない精密質量特性解析
MALDI ソースアクセサリーを装備した SYNAPT G2 MS/HDMS™ シリーズの装置により、MALDI-MS、MALDI-MS/MS、および MALDI-MS/IMS/MS(SYNAPT G2 HDMS シリーズ)分析を使用する、化合物の精密質量特性解析のための妥協のないソリューションが実現します。
概要
質量分析による化合物の同定は、一部の分子のエレクトロスプレーイオン化との非適合性によって制約を受ける場合があります。ご使用の SYNAPT シリーズの MS/HDMS 装置では、交換可能な中間圧力(IP)MALDI ソースを追加することで、この制約がなくなります。
- デュアルイオン化機能
- イオン化および分析が可能な化合物数が大幅に増加
- 96/384 スポットターゲットプレート型式に対応
- 高い分解能、感度、質量測定精度を備えた MS 分析および MS/MS 分析
- MALDI SYNAPT G2、G2-S、および G2-Si 装置用の 2.5 KHz 固体レーザーシステム
さらに、SYNAPT HDMS シリーズ装置のイオンモビリティー分離機能により、従来の MALDI 分析では見えなかった成分を明らかにすることができ、複雑な生物学的抽出物中の分子種を、共溶出する同重体化合物、MALDI マトリックスイオン、またはバックグラウンド干渉から分離することができます。
迅速な切り替え
すべての装置に、独自の電動エンゲージメントシステムが装備されており、API モードと MALDI モードの操作間ですばやく簡単に切り替えることができます。まず API ソースを取り外し、電動ステージで MALDI ソースを持ち上げ、これを所定の位置に固定してソースを交換します。API 取り込みから MALDI 取り込みに変更するすべてのプロセスは、通常 2 時間で完了します。
SYNAPT シリーズ MS/HDMS 装置によって得られる精密質量 MALDI-MS/MS データには以下の利点があります。
- タンパク質同定とタンパク質のシーケンスカバー率の向上
- 正確な MALDI-MS および MS/MS テクノロジーを使用するタンパク質および PTM の特性解析
- ポストソース減衰 (PSD) 手法と比較して、新規化合物のシーケンシングが大幅に向上
- ポリマー、糖鎖、低分子、オリゴヌクレオチドの高感度で正確な分析が可能
- 代謝物構造推定とプロファイリング
- バイオマーカーの探索
- 分子イメージング
イオンモビリティー分離機能が追加された MALDI SYNAPT G2 HDMS シリーズの装置により、新しい研究分野における画期的な実験も可能になります。
LC-MALDI
液体クロマトグラフィー分離を行い、次に MS 分析を行うことで、MALDI によってのみイオン化される複雑な混合物中の特定のタンパク質にも対応できます。
オフラインの LC 分離を行い、ロボット式のスポッティングデバイスを使用して、溶出した LC フラクションを MALDI ターゲットプレートに直接滴下します。これを装置に導入して MALDI 分析を行います。
この手順は、低存在量のタンパク質と高存在量のタンパク質が混在するペプチド質量フィンガープリントを使用したタンパク質同定に特に有効です。
他の従来のメソッドでは、イオン化抑制効果、装置のダイナミックレンジによる制約、化学ノイズ干渉により、低存在量のタンパク質が検出されません。
LC MALDI 分析により以下の利点が得られます。
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MALDI のターゲットのクロマトグラフィー分離が空間的に保持される
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MALDI により、高感度で干渉のないオフライン LC-MS データおよび LC-MS/MS データが得られる
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高存在量タンパク質が含まれる混合物中の低存在量タンパク質のペプチド質量マッピング
MALDI MS イメージング
MALDI ソースアクセサリーを使用することで、MALDI SYNAPT™ G2 シリーズ MS/HDMS™ システムで MALDI MS イメージングが行える可能性があります。これをさらに拡張して、SYNAPT G2 HDMS シリーズ装置の MALDI イメージングおよび MS イメージングによる新規のイオンモビリティー試験を含めることができます。
MALDI イメージングには、組織サンプル中のミスフォールドタンパク質を検出し、さまざまなヒト疾患の理解を深めることができる可能性があります。
MALDI G2 SYNAPT シリーズの MS ソースおよび HDMS ソースにはすべて、顕微鏡プレートホルダーアセンブリーが標準装備され、従来の顕微鏡プレートの直接導入が可能です。
さらに、MALDI SYNAPT G2、MALDI SYNAPT G2-S、および MALDI SYNAPT G2-Si シリーズの装置には、2.5 KHz の高反復速度固体レーザーシステムが標準装備されており、MALDI イメージング実験におけるアブレーション時間が短縮します。最新の MALDI イオン源設計では、平均のレーザースポットのサイズが 60 µm に縮小されています。
装置適合性
MALDI ソースの取り付けは、質量範囲が少なくとも 8,000 amu の四重極アナライザーがすでに装備されている場合にのみ、以下の装置に推奨されます。ただし、4,000 amu の四重極アナライザーで十分な低分子 MALDI アプリケーションがいくつかあります。MALDI ソースは、質量範囲が 32,000 amu の四重極アナライザーがすでに装備されている SYNAPT G2 シリーズ MS/HDMS 装置に追加することもできます。
- SYNAPT G2 MS および SYNAPT G2 HDMS(2.5 KHz レーザー)
- SYNAPT G2-S MS および SYNAPT G2-S HDMS(2.5 KHz レーザー)
- SYNAPT G2-Si MS および SYNAPT G2-Si HDMS(2.5 KHz レーザー)
また、質量範囲 4,000 amu の四重極アナライザーから質量範囲 8,000 amu へのオンサイト変換も、すべての SYNAPT シリーズ装置で利用できます。
装置および取り付け
MALDI ソースのアセンブリーには、デュアル軸サンプルインレットを備えた 2.5 KHz 固体 Nd:YAG レーザーシステムが含まれ、各サンプルウェル間でランダムアクセス移動が行えます。高繰り返し周波数のレーザーによりサンプルスループットが向上し、優れた空間分解能が得られるとともに、MALDI イメージング実験の生産性が向上します。
MALDI ソースおよび真空システムは、API 動作に設定されている場合、新しい装置エンクロージャーの前面に完全に格納されます。
MALDI 動作では、内蔵の電動柱を使用して新しいソースを格納位置から持ち上げてから、工具不要のクランプシステムを使用してこれを既存の移送筐体に固定します。
このソースは、すべてのウォーターズのサンプルプレートと互換性があり、質量測定精度を高めるためにロックマスサンプルウェルを組み込むオプションに対応しています。また、このソースは、プレートアダプターを使用することで、ガラス製顕微鏡スライドや従来の Applied Biosystems ターゲットプレートとも適合性があります。
ユーザー制御可能なレーザー減衰機能が、取り込み目的で装置の PC 画面にサンプルウェルのリアルタイム画像を表示する高倍率表示光学系とともに装備されています。
MALDI ソースの組み立ては、ウォーターズのフィールドサービスエンジニアが行う必要があります。