• アプリケーションノート

ハイスループット ADME 試験のための分析ソリューション

ハイスループット ADME 試験のための分析ソリューション

  • Marian Twohig
  • Robert S. Plumb
  • Amy Bartlett
  • Peter Hancock
  • Waters Corporation

要約

ハイスループット ADME(吸収、分布、代謝、排泄)は、医薬品探索の初期段階で、有効な医薬品候補の特定において重要な役割を果たします。In vitro ADME 試験は通常、代謝、安定性、毒性、膜透過性などの一連のアッセイで構成されています。

ADME 特性および物理化学的特性について大量の化合物を迅速にスクリーニングする機能により、ヒット化合物から適格性評価された医薬品候補への変換が加速されるため、効率が向上し、重要な意思決定が支援されます。医薬品の探索プロセスの初期段階で、質の高い in vitro ADME データを生成したいという望みにより、迅速な分析法の必要性が認識されています。

液体クロマトグラフィーおよびタンデム四重極質量分析(LC-MS/MS)の手法は、その感度と選択性、およびワークフローを自動化できる機能により、in vitro ADME 試験に広く使用されています。

この試験では、分析データのハイスループット収集が容易になる分析法について説明します。ターゲット MS メソッドの自動最適化、サンプルの取り込み、データ解析およびレポート作成により、結果のより迅速な解釈と効率向上が可能になります。エレクトロスプレー検出(ESI)および Xevo™ TQ-S micro タンデム四重極質量分析計(MS)を搭載した超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)を、CTC PAL3 RSI オートサンプラーとともに使用しました。CTC PAL3 RSI システムは、非常に柔軟な X、Y、Z ロボットシステムで、幅広い機能を提供しています。ミクロソーム安定性アッセイを使用して、QuanOptimize により ADME ワークフローの重要な部分を完全に自動化する方法を実証しました。

この分析法では、3 種類の被験化合物について、すべてのタイムコースでのミクロソームのインキュベーション測定(T0、T15、T30、T45、T60、T90)について、2% RSD(n=6)以内の優れた注入精度が示されました。

アプリケーションのメリット

  • 高いデータレートで取り込める堅牢な質量分析計により、高速クロマトグラフィーで生成された幅の狭いピークを完全に特性解析し、包括的な感度要件を満たす
  • QuanOptimize により、最適化、メソッド生成、取り込み、データ解析が完全に自動化されるため、ワークフローの効率が向上し、ユーザー操作が削減
  • 柔軟性と機能性を向上させるための変更可能なサンプルキャパシティーとトレイオプションを備えた、再現性の高いインジェクター
  • キャリーオーバーを最小限に抑えるカスタマイズ可能な洗浄シーケンスにより、オフラインでシステムをフラッシュ洗浄する必要が減るため、システムの稼働時間が最大に
  • 注入間サイクル時間を短縮する先行注入機能により、分析速度がカスタマイズ可能に

はじめに

ハイスループット ADME(吸収、分布、代謝、排泄)は、医薬品探索の初期段階で、有効な医薬品候補の特定において重要な役割を果たします1In vitro ADME 試験は通常、代謝、安定性、毒性、膜透過性などの一連のアッセイで構成されています2。 ADME 特性および物理化学的特性について多数の化合物を迅速にスクリーニングする機能により、特定されたヒット化合物から適格性評価されたリード医薬品候補への変換が加速されるため、効率が向上し、重要な意思決定が支援されます1。 医薬品の探索プロセスの初期段階で、質の高い in vitro ADME データを生成したいという望みにより、迅速な分析法の必要性が認識されています3。 高流量を用いる高速液体クロマトグラフィーとタンデム質量分析の組み合わせ(LC-MS/MS)は、データの質、取り込み速度、感度、選択性が高く、自動化できるため、ADME 試験に広く使用されています3。 高速クロマトグラフィーには、溶出するピークを正確に定義するための高い質量分析データ取り込み速度が必要です。サンプル前処理のフロントエンドの自動化とハイスループット分析を組み合わせることで、ADME 分析における律速ポイントを減らすのに大きく役立ちます4。サンプルを LC-MS/MS で分析する前に、それぞれの将来の医薬品候補について MS/MS 情報を生成し、メソッドを開発する必要があります。これらは分析ワークフローにおいて時間のかかるステップになる可能性があります。さらに、ADME 結果をタイムリーに得られることが、リード候補の進行を促進するために不可欠です。ハイスループット分析手法により大量のデータが生成され、データバックログを防ぐためにこのデータを管理する必要があります5。 ワークフローのさまざまな部分(化合物の最適化、LC-MS/MS メソッド開発、データ取り込みおよびデータ解析など)を、ソフトウェアを用いて自動化および管理することにより、効率が向上します。
この試験では、LC-MS/MS データのハイスループットの収集、MS メソッドの最適化、取り込み、データ解析およびレポート作成を完全に自動化することで、結果の迅速な解釈とレポート作成を可能にする、QuanOptimize™ ソフトウェアの使用について説明します6,7。 エレクトロスプレー検出(ESI)および Xevo™ TQ-S micro タンデム四重極質量分析計を搭載した超高速液体クロマトグラフィー(UPLC™)を、CTC PAL3 RSI オートサンプラーとともに使用しました。CTC PAL3 RSI システムは、非常に柔軟な X、Y、Z ロボットシステムであり、幅広い機能を提供しています。オープンベッドオートサンプラーが備わっているため、サンプルへの迅速なアクセスおよび解析が可能になります8

ミクロソーム安定性分析は、in vivo における半減期に影響する重要な薬物動態パラメーターである、固有クリアランスの予測にルーチンで使用されます9。 この試験では、複数のポジティブコントロール化合物を使用して、ミクロソーム安定性アッセイを実施し、親薬物の消失を測定しました。また、時間のかかるメソッド開発ステップを含む ADME ワークフローの重要な部分を、QuanOptimize で完全に自動化する方法を実証しました。

実験方法

サンプル前処理

標準試料と試薬 複数の薬物の真正標準試料を、Sigma Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から購入しました。
Optima LC/MS グレードの溶媒およびギ酸は、Thermo Fisher Scientific(マサチューセッツ州ウォルサム)から購入しました。真正薬物標準試料は、分析天秤を使用してガラス製シンチレーションバイアルに秤量し、必要に応じて、塩の重量を計算で考慮しました。固体化合物の最初の溶解には、10% ジメチルスルホキシドを使用し、次に 90% メタノールを使用して、ストック濃度 1 µM にしました。次に、ミクロソーム安定性アッセイで使用するために、アセトニトリルで薬物濃度をさらに 100 µM に希釈しました。
最適化ステップでは、薬物標準試料を 2 mL の 96 ディープウェルプレート中 1 µM になるように調製しました。


ミクロソーム安定性試験

一塩基性リン酸カリウム、二塩基性カリウムおよび NADPH は Sigma Aldrich から購入しました。試験用のストック溶液は、以下のように調製しました。

1)0.1M リン酸カリウムバッファー(pH 7.4)
一塩基性リン酸カリウム(P5655、0.51 g)を秤量ボートに量り取り、200 mL の試薬ボトルに移しました。二塩基性カリウム(P3786、2.81 g)を 2 番目の秤量ボートで量り、試薬ボトルに移しました。脱イオン水(200 mL)を添加し、溶液を 5 分間超音波処理しました。pHを 7.4 に調整して、最終溶液を調製しました。

2)バッファー中 NADPH (N8129) 20 mM
NADPH(20 mM)は、ガラス製シンチレーションバイアルに 56.8 mg を量り取り、続いて 4 mL の 0.1 M リン酸カリウム pH 7.4 バッファーを添加して調製しました。溶液は分析当日に調製し、遮光のためにホイルで覆いました。

3)インキュベーション用標準試料
医薬品標準試料は、アセトニトリル中(2 µL)に 100 µM になるように調製しました。

ミクロソーム安定性試験のために、96 ウェルプレートに以下の手順を適用しました。

1)-80 ℃ で保管した、プールしたオスの Sprague Dawley ラットの肝臓ミクロソーム(RLM)(0.5 mL、20 mg/mL、BioIVT、ニューヨーク州ウェストバリー)が入った複数のチューブを、実験前に氷の上でゆっくりと解凍しました(所要時間約 60 分)。バイアルを混合し、緩やかに振って均一な溶液を調製しました。

2)すべてのタイムポイントのインキュベーション混合液の合計容量は 200 µL で、最終タンパク質濃度は 2.0 mg/mL でした。

3)反応なしのタイムポイント T0 は、20 µL のマイクロソーム、178 µL のバッファー、2 µL の薬物を添加して調製しました。タイムポイント T0 では NADPH を添加しませんでした。

4)各薬物のタイムポイント T15 ~ T90 は、20 µL のマイクロソーム、178 µL のバッファー、2 µL の薬物を添加して調製しました。

5)薬物ブランク試料は、20 µL のミクロソーム、160 µL のバッファー、20 µL の NADPH 溶液を使用して調製しました。

6)被験化合物を添加する前に、インキュベーション混合液を 37 ℃ の温浴槽に 5 分間入れて平衡化しました。

7)タイムポイント T0 の溶液を、待機している 600 µL の冷たいアセトニトリルが入った急冷プレートに取り出しました。

8)キャップマットを 37 ℃ の温浴槽でインキュベーションしたインキュベーションプレートにしっかりと置きました。

9)各タイムポイント T15、T30、T45、T60、T90 の溶液を、600 µL の冷たいアセトニトリルが入っている急冷プレートに連続して取り出しました。冷却プレートを振盪して、反応を停止しました。

10)反応完了後、プレートを 4000 rpm で 10 分間遠心分離しました。結果として得られた上清を清潔なプレートに移し、直接注入するか、LC-MS/MS による分析用に 75:25 アセトニトリル/水で 1:10 に希釈しました。

分析システムは、最大 18k psi の圧力に対応するバイナリーポンプ(BSM)で構成されていました。カラムマネージャーにより、化合物最適化のための専用バイパスチャンネルに加えて、2 つのカラム位置を選択することができました(表 1)。カラム位置 1 は、ミクロソーム安定性サンプルの取り込みに使用しました。ミキサーおよびリストリクターの組み合わせで機能するように設計されたプロトタイプのケミストリーフリーカラムを使用して、ポンプに十分な最小背圧を提供するとともに、クロマトグラフィーピークを幅広くして最適化プロセスを支援しました。ピークの広がりと背圧を誘発する別の方法として、PEEK チューブの長さおよび/または内径の適切な組み合わせを使用することが挙げられます。

表 1. LC 条件

LCMS-P ツールおよび 100 µL スマートシリンジを搭載した CTC PAL3 RSI オートサンプラーを使用して、サンプルを高圧バルブ(VICI)に送液しました(図 1)。オートサンプラーには高速洗浄ステーションモジュールが含まれており、これにより、2 つの溶媒リザーバーからの洗浄速度およびシーケンスをカスタマイズし、キャリーオーバーを最小限に抑えることができます(表 2)。

6 × 96 ウェルプレートを収容できる 2 台のトレイホルダーモジュールと 4 ℃ に設定された同等のサンプルキャパシティーの冷却 Peltier スタックを使用しました(図 1A および 1B)。

図 1.  CTC PAL3 RSI システム(上)、トレイホルダー(A)および Peltier クーラースタックモジュール(B)

表 2. オートサンプラーの条件

逆相条件下で極性分析種の保持が最大になるように設計された固定相とともに、汎用グラジエントを使用しました(表 3)。T3 粒子により、有機溶媒の割合が低い移動相(最大 100% 水系)を使用する場合に、極性分析種および非極性分析種に対して、従来の C18 特性が得られます。

表 3. グラジエントプログラム

Xevo TQ-S micro タンデム四重極質量分析計を使用して、汎用イオン源パラメーターで MS データを取り込みました(表 4)。化合物の最適化、MRM メソッドの生成、データ取り込み、定量メソッドの生成、データ解析、レポート作成を、MassLynx ソフトウェア内の QuanOptimize アプリケーションを使用して、完全に自動化しました。

表 4. MS 条件

QuanOptimize の自動メソッド開発および取り込み

MassLynx ソフトウェア内の QuanOptimize アプリケーションマネージャーにより、ユーザー操作が最小限に抑えられ、ADME ワークフローを完了するために必要な個々のステップが合理化および簡略化されました。このソフトウェアは、ハイスループットの定量測定が必要なすべてのラボに適用可能です。全自動のワークフローを図 2 に示しています。各ステップのパラメーターは、QuanOptimize Method Editor で定義します。このソフトウェアは、各ステップを同時または個別に実行できる機能により、個々のラボ要件に高度に適合させることができます。

図 2.  完全に自動化された QuanOptimize ワークフロー

化合物の最適化を実行するために、カラムマネージャーで使用できる流路の 1 つであるバイパスチャンネルを経由して、ループ注入を使用して 1 µM 濃度の試験化合物を注入しました。QuanOptimize では、事前に設定されたサンプルリストである Compound List(化合物リスト)を使用します。ここには、名前、質量または元素組成、サンプルの場所、およびサンプルグループ(分析のためにグループ化する化合物の整理に使用)などのサンプルに関する情報を入力します(図 3)。

図 3.  最適化に使用する QuanOptimize 化合物リストの形式

化合物リストの情報および QuanOptimize Method Editor の設定(図 4)に基づいて、コーン電圧とコリジョンエネルギーを、特定の化合物に対して決定された最適なイオン化極性で複数の MS ファンクションを使用して最適化します。

QuanOptimize Method Editor では、分析ワークフローの自動化に関連するすべてのプロセスのパラメーターが調整できます。汎用 LC メソッド、MS チューンファイル、および自動生成された MS メソッドのベースになる設定は、メソッドエディターで参照できます。

化合物の最適化の成功は、最適な感度と特異性を確保するために重要になります。最適化ステップでは、メソッドエディターで指定されたコーン電圧とコリジョンエネルギー(CE)の範囲に基づいて、複数の MS ファンクションを使用します。図 4 の CE ループ注入最適化の重ね描きクロマトグラムでわかるように、コーン電圧とコリジョンエネルギーの最適化に使用する MS ファンクションが同時に取得されます。この場合、メソッドで 10 eV ~ 50 eV の範囲が指定されます。

図 4.  最適化および取り込みに関連するすべての設定の調整を行う QuanOptimize Method Editor(左)。CE 最適化を示す、重ね描きクロマトグラム(右)。

複数化合物の最適化レポートの例と、ネファゾドンについて QuanOptimize で生成された MS メソッドを図 5 に示します。

図 5.  QuanOptimize 最適化結果レポートの例(左)、およびネファゾドンの自動生成 MS メソッド(右)

事前に作成された 2 番目のサンプルリスト Analysis List(分析リスト)を分析データの取り込みに使用します。このサンプルリストには、ファイル名、サンプルの定義、濃度、およびサンプルの場所が特定されています。MS メソッドと LC メソッドは QuanOptimize によって管理されるため、指定する必要はありません(図 6)。

図 6.  QuanOptimize の Analysis List(分析リスト)

ワークフローのすべてのステップは、QuanOptimize ウィザードによって開始されます。ステップは、ラボのニーズに基づいて、個別に、あるいはまとめて実行できます(図 7)。

図 7.  QuanOptimize ウィザードおよび QuanOptimize ウィザードおよび Quantify Options(定量オプション)。ステップはまとめて、あるいは個別に実行できます。

結果および考察

QuanOptimize を使用したミクロソーム安定性ワークフローの自動化

メソッド開発プロセスの自動化に続いて、QuanOptimize を使用して、ミクロソーム安定性試験のデータ取り込み、解析メソッドの生成、およびレポート作成を管理しました。図 8 は、3 回繰り返しで分析したネファゾドンの RLM ミクロソーム安定性結果の TargetLynx レポートを示しています。ピーク面積レスポンスの変化の測定値を使用して、標準試料として定義し、残っている親イオンの、T0 (値 100% を割り当て)に対する相対割合を計算しました。タイムポイント T15 ~ T90 は、T0 に対する相対値として定量しました。

図 8.  自動生成された TargetLynx 定量レポート。T0 ~ T90(n=3)の範囲にわたって、RLM とインキュベートした 1 µM のネファゾドンのミクロソーム安定性プロファイルデータのテーブルを示しています。

ネファゾドンのミクロソーム安定性プロファイルを評価するために、医薬品の残存率(n=3)を時間に対してプロットしました(図 9)。

図 9.  T0 ~ T90 分(n=3)の範囲にわたるネファゾドンのミクロソーム安定性プロファイル(時間に対する残存率)(RLM(1:10 希釈)、10 倍オーバーフィルの 1 µL ループを使用して、1 µM でインキュベート)

% RSD を使用して分析システムの再現性を評価しました。ネファゾドンサンプルのタイムコースのポイント(1:10 希釈、1 µM インキュベーション)を 6 回注入しました。データは、表形式およびグラフ形式(棒グラフ)で表しています(図 10)。RSD はタイムコースのどの時点でも 1.5% 未満であり、再現性の高い分析システムであることが実証されました。その他の 2 化合物について再現性試験を繰り返したところ、各被験化合物の RSD は 2% 未満(n=6)でした(データは示していません)。

図 10.  T0 ~ T90 分の範囲にわたるネファゾドンのタイムコースの繰り返し注入(n=6)を示す、棒グラフおよび表形式の関連データ(RLM、1:10 希釈、10 倍オーバーフィルの 1 µL ループを使用し、1 µM でインキュベート)。

ポジティブコントロールのミクロソーム安定性プロファイル

汎用 LC グラジエントで使用する MS メソッドの自動生成により、クロマトグラフィーの初期評価を行うことができ(図 11)、各分析種について良好なピーク形状および保持が確認できます。CORTECS T3 1.6 µm、2.1 × 30 mm ソリッドコアパーティクルカラムの固定相は、極性分析種の保持が向上するように設計されています(表 1)。粒子径を小さくし、ソリッドコアパーティクルテクノロジーを使用することで、カラム効率が向上して、クロマトグラフィーの分離能が向上します。この点は、親分子に戻るソース内フラグメンテーションを受けるマトリックス成分および代謝物の分離において重要になる可能性があります。低拡散クロマトグラフィーシステムを使用することで、効率が向上します2。 高流量で短いカラムを使用することで、良好な保持とピーク形状を維持しながら、分析時間を大幅に短縮することができます。良好なクロマトグラフィーピーク形状により、データ解析において手動解析を回避することができます。

図 11.  10 倍オーバーフィルの 1 µL ループを用いた、アセトニトリル中 1 µM のポジティブコントロール化合物の分析で得られたクロマトグラム

構造的に多様な濃度 1 µM のポジティブコントロール化合物を使用して、RLM のタイムコースインキュベーション(T0、T15、T30、T45)を行いました。サンプルは 3 回繰り返しで注入し、各時点の平均を用いて T0 ~ T45 のミクロソーム安定性プロファイルをプロットしました(図 12)。

図 12.  T0 ~ T45 分の範囲にわたる 9 種のポジティブコントロール化合物のミクロソーム安定性プロファイル(時間に対する残存率)(濃度 1 µM で RLM とインキュベート、10 倍オーバーフィルの 1 µL ループを使用)

QuanOptimize を使用した、分析ワークフロー全体のシングルポイントソフトウェア管理により、ユーザー操作を最小限に抑えつつ、データを生成および解析できました。

結論

RLM とのインキュベーションを使用したミクロソーム安定性試験を使用して、ADME 試験における QuanOptimize ワークフローの使いやすさと効率の向上を実証しました。メソッドエディターを介して最適化を管理することで、新しい化合物に対する事前分析や微調整の必要がなくなり、プロジェクトチームへの結果の迅速な提出が保証されます。このソフトウェアにより、ユーザー操作を最小限に抑えつつ、ADME ワークフローを完了するために必要な個々のステップが合理化および簡略化されます。このワークフローは、各ステップを同時または個別に実行できる機能により、個々のラボの要件に高度に適合できます。

CTC PAL3 RSI システムを Waters UPLC ポンプ、マルチパスカラムマネージャー、および堅牢な質量分析計とともに使用することで、包括的な感度要件と高いデータの質を実現できました。この分析システムにより、ハイスループットのクロマトグラフィーが容易になります。また、先行注入機能など、高度にカスタマイズ可能な注入シーケンスにより、サンプルロードの遅延が解消され、分析時間が短縮されます。高速洗浄モジュールでは、カスタマイズ可能な洗浄シーケンスと速度を用いて、キャリーオーバーを最小限に抑えることができます。

この分析法およびソフトウェアは、ADME およびその他の in vitro 分析から得られた多数のサンプルを迅速に分析する必要があるラボに適しています。これにより、分析効率が向上し、メソッド開発およびデータ解析の負担が軽減されます。

参考文献

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720008464JA、2024 年 8 月

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