• アプリケーションノート

INTACT Mass™ - バイオ医薬品の迅速な質量確認および純度評価のための汎用性の高い waters_connect™ アプリケーション

INTACT Mass™ - バイオ医薬品の迅速な質量確認および純度評価のための汎用性の高い waters_connect™ アプリケーション

  • Henry Shion
  • Patrick Boyce
  • Scott J. Berger
  • Ying Qing Yu
  • Waters Corporation

要約

近年、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)インタクトマス分析は、バイオ医薬品の開発および製品化のすべての段階における特性解析とモニタリングに必須のツールとなっています。創薬におけるスクリーニング、プロセス開発、製剤/安定性などの機能により、多数のサンプルを生成でき、ハイスループットのインタクトマス分析と不純物プロファイリングを行える分析ソリューションは、これらの要件を満たす上で有利です。今回、規制対応環境での展開に適した、生体分子の LC-MS 質量確認および定量的モニタリングを合理化する、新しい汎用性の高いソフトウェアアプリケーションの開発について報告します。 

アプリケーションのメリット

  • ハイスループットの質量確認および純度分析用の効率的な自動ワークフロー
  • 光学クロマトグラム、トータルイオンクロマトグラム(TIC)またはイントラマススペクトルによる純度測定
  • 入力および出力される質量範囲およびデコンボリューションパラメーターの自動決定により、モノアイソトピック質量または平均デコンボリューション済み質量の結果を生成
  • 複数の分析法が様々な生体分子クラスのプラットホーム分析法として適用可能

はじめに

インタクトマス分析により、バイオ医薬品のグローバルなプロファイルが得られ、予測質量の確認、製品の不均一性のプロファイリング、不純物の割り当てを行うことができます。近年、LC-MS インタクトマス分析は、バイオ医薬品の開発および製品化のすべての段階における属性解析とモニタリングに不可欠のツールとなっています。創薬におけるスクリーニング、プロセス開発、調合/安定性などの機能により、多数のサンプルを生成でき、ハイスループットのインタクトマス分析と不純物プロファイリングを行える分析ソリューションは、これらの要件を満たす上で有利です。

今回、規制対応環境に適した LC-MS データ取り込み、データのインタクトマス解析、結果のレポート作成を合理化できる waters_connect アプリケーションの開発について報告します。INTACT Mass アプリケーションは、簡単な質量確認、ハイスループットのインタクトマススクリーニング、および製品の不純物プロファイリングに適用可能です。このアプリケーションノートでは、ハイスループットのターゲット質量確認のためのワークフローの主要な段階を説明します。市販の 6 種のモノクローナル抗体(mAb)と NISTmAb IdeS 消化サブユニットについて得られた実験結果を説明します。 

図 1.  ACQUITY™ Premier を搭載した BioAccord™ LC-MS システムは、ACQUITY RDa™ 精密質量検出器とインラインで接続されたチューナブル UV 検出器(TUV)を備えた ACQUITY Premier バイナリー UPLC™ として構成され、waters_connect インフォマティクスプラットホームで操作を行います。

実験方法

化合物およびサンプル前処理

LC-MS グレードのアセトニトリル(ACN)は Honeywell - Burdick & Jackson から購入しました。LC-MS グレードのギ酸は Thermo Fisher Scientific から購入しました。市販の mAb であるトラツズマブ(Genentech)、インフリキシマブ(J&J)、ベバシズマブ(Abbot)、リツキシマブ(Biogen Idec)、オマリズマブ(Genentech)は Besse Medical (www.besse.com)から購入しました。mAb はすべて -80 ℃ で保管した後、LC-MS 分析用に解凍して Milli-Q 水で 0.5 µg/µL に希釈しました。また、この試験では、Waters™ ヒト化モノクローナル抗体(NISTmAb)質量チェック標準試料(Waters 製品番号:186009125)および Waters mAb(NISTmAb)サブユニット標準試料(Waters 製品番号:186008927)を使用しました。インタクト NISTmAb サンプルの場合、サンプルバイアル(80 µg のタンパク質試料を含む)に 160 µL の Milli-Q 水を加えて 0.5 µg/µL 溶液にして分析しました(2 µL 注入)。サブユニット分析では、サンプルバイアル(25 µg のサブユニット mAb 試料を含む)に 125 µL の水を加えて 0.2 µg/µL 溶液にして分析しました(2 µL 注入)。 

ACQUITY Premier を搭載した BioAccord システム

システム:

ACQUITY Premier UPLC BSM、

カラムヒーター搭載 ACQUITY Premier UPLC FTN、

ACQUITY RDa 質量検出器、

ACQUITY Premier TUV 光学検出器、

waters_connect v2.1.2.4

インタクトマス分析 - LC-MS メソッドのセットアップ

カラム:

ACQUITY Premier Protein BEH™ C4 カラム、300 Å、1.7 µm、2.1 mm × 50 mm(Waters 製品番号 = 186010326)

カラム温度:

80 ℃

移動相 A:

0.1% ギ酸水溶液

移動相 B:

0.1% ギ酸アセトニトリル溶液

TUV 光学検出器:

UV 280 nm

インタクト mAb 分析に用いる LC グラジエントテーブル

合計実行時間:2.5 分

インタクトマス分析の MS 条件

取り込み設定

モード:

フルスキャン

質量範囲:

高(m/z 400 ~ 7000)

極性:

ESI ポジティブ

スキャンレート:

2 Hz

コーン電圧:

カスタム(70 V)

キャピラリー電圧:

カスタム(1.50 kV)

脱溶媒温度:

カスタム(550 ℃)

インテリジェントデータキャプチャー(IDC):

オン

サブユニット質量分析 LC-MS メソッドのセットアップ

カラム:

ACQUITY Premier Protein BEH C4 カラム、300 Å、1.7 µm、2.1 mm × 50 mm(Waters 製品番号 = 186010326)

カラム温度:

80 ℃

移動相 A:

0.1% ギ酸水溶液

移動相 B:

0.1% ギ酸アセトニトリル溶液

TUV 光学検出器:

UV 280 nm

分析に用いる LC グラジエントテーブル

合計実行時間:3.0 分

サブユニット分析の MS 条件

取り込み設定

モード:

フルスキャン

質量範囲:

高(m/z 400 ~ 7000)

極性:

ポジティブ

スキャンレート:

2 Hz

コーン電圧:

カスタム(50 V)

キャピラリー電圧:

カスタム(1.00 kV)

脱溶媒温度:

カスタム(450 ℃)

インテリジェントデータキャプチャー(IDC):

オン

結果および考察

waters_connect インフォマティクスプラットホーム HUB 内の INTACT Mass アプリケーション(図 2)を使用して、さまざまな生体分子クラスの質量確認と純度評価が行えます。また、ノンターゲット質量分析を行って、創薬研究をサポートすることもできます。さらに、光学クロマトグラム、TIC、またはマススペクトルを使用して純度評価を行うこともできます。 

図 2.  waters_connect HUB には、Acqusition Method Editor、Sample Submission、Scientific Library、INTACT Mass、LC-MS Toolkitなどのインタクトマス分析ワークフローに関連するアプリケーションアイコンが含まれています。

waters_connect インフォマティクスプラットホーム HUB には、インタクトマス分析ワークフローに利用されるアプリケーションが含まれています。Acquisition Method Editor アプリは、LC グラジエントや MS 設定などのデータ取り込み条件を定義するために使用します。INTACT Mass アプリケーションは、データ取り込み、解析、レビュー、レポート作成を含む統合されたワークフローを動作させます。Sample Submission アプリは独立して起動することもできますが、ユーザーが取り込みおよび解析のオプションを選択すると、INTACT Mass アプリケーション内で実行されます。Scientific Library には、さまざまな生体分子の種類の可変修飾の広範なリストが含まれており、これらを選択してプロダクトバリアント、不純物、MS 付加イオンを検索することができます。LC-MS Toolkit アプリを使用することで、結果の確認やトラブルシューティングで必要な場合にデータを手動で確認できます。 

取り込みメソッドの作成

インタクトマス LC-MS データの取り込みを容易にするために、waters_connect HUB で Acquisition Method Editor アプリを使用して、メソッドを定義します。この取り込みメソッドには、ソルベントマネージャー、サンプルマネージャー、カラムコンパートメント、チューナブル UV(TUV)、および ACQUITY RDa MS 検出器の設定が含まれています。ハイスループット分析を容易にするため、合計分析時間 2.5 分と高速の LC 脱塩メソッドを定義し、示されているグラジエントテーブルとグラフ(図 3A)、および MS 設定(図 3B)を使用しています。この実験の MS メソッドでは[Scheduled Lockmass](スケジュールされたロックマス)を選択し、注入間に行われるシステムチェック作業を減らすことによって、合計取り込み時間を短縮させました。INTACT Mass アプリケーションで[Scheduled Lockmass](スケジュールされたロックマス)を選択した場合、2.5 分の高速 LC メソッドを使用する 48 回のサンプル分析の LC-MS データ取り込みとデータ解析を完了するのに 136 分かかります。 

図 3.  Acquisition Method Editor を使用して、ハイスループットのインタクト mAb LC-MS 取り込みメソッドを作成しました。グラジエントテーブルおよびグラフ(A)に示されているように、合計分析時間は 2.5 分で、詳細な MS 設定でスケジュールされたロックマスを選択しています(B)。 

解析メソッドの作成

データ解析メソッドは INTACT Mass アプリケーション内で作成します。既存のメソッドから複製することも、新規生成することもできます。INTACT Mass アプリケーションのようこそページ(図 4)では、ユーザーは既存のデータセットに対して解析のみの分析を生成することや、新しいデータセットに対して取り込みと解析を組み合わせることができます。

図 4.  INTACT Mass アプリケーションのメインページ。解析メソッドは、既存のデータに対して実行することも、取り込みと解析の選択の一環として実行することも、あるいは新しいデータ解析を作成することもできます。

インタクト mAb スクリーニングの解析メソッドを作成する場合(図 5A)、データデコンボリューションにおいて、最新の BayesSpray1 または従来の MaxEnt1 2 アルゴリズムのいずれかを柔軟に選択できます。BayesSpray を適用すると、平均スペクトルまたはモノアイソトピックスペクトルを生成することができ、MaxEnt1 では平均質量が得られます3。自動ピークデコンボリューション設定を選択すると、生スペクトルとデコンボリューション済みスペクトルの質量範囲、およびその他のデコンボリューションのパラメーターが自動で最適化され、必要に応じて、この最適化の結果が今後のメソッドでロックされます。この試験では、MaxEnt1 デコンボリューションアルゴリズムを解析に選択しました。プルダウンリスト(図 5B)から分子の種類を選択(この試験では[Protein](タンパク質)を選択)し、デコンボリューションアルゴリズムを使用して、最適な結果が得られる適切な元素組成をモデリングするか、あるいはカスタム元素組成を選択して非典型クラスの分子に対応することができます。この機能により、ユーザーによる操作がほとんどなしで、最適なチャージデコンボリューション結果が得られ、さまざまな分子を含むサンプルセットに適用できるプラットホーム分析法の作成が可能になります。例として、参考文献リストに、「LC-MS Analysis of Single Guide RNA Impurities Using the BioAccord System with ACQUITY Premier and Automated waters_connect INTACT Mass Application」(ACQUITY Premier を搭載した BioAccord システムおよび自動化 waters_connect INTACT Mass アプリケーションを用いた単鎖ガイド RNA 不純物の LC-MS 分析)と題する INTACT Mass アプリケーションを使用したオリゴに焦点を当てた分析が記載されています4

図 5.  解析パラメーターの選択。このアプリでは、データデコンボリューションにおいて BayesSpray アルゴリズムまたは従来の MaxEnt1 アルゴリズムの両方をサポートします。BayesSpray の結果は平均質量またはモノアイソトピック質量として得られ、MaxEnt 1 では平均質量が得られます。既定の自動設定を使用すると、生スペクトルおよびデコンボリューション済みスペクトルの質量範囲およびその他のデコンボリューションの設定を、データ解析の間にインテリジェントに最適化することができます(図 5A)。さらに、さまざまなサンプルの種類を選択し、元素組成モデルを最適化して最適なチャージデコンボリューションを得ることができます(図 5B)。

分析の実行

取り込みおよび解析のオプションを選択した後にメソッドを選択すると、サンプルリスト(図 6)が開き、ここでターゲット質量、サンプル、分子の種類、サンプル前処理などのサンプル情報(例: IdeS 消化)を指定できます。 

図 6.  サンプルリストの取り込みおよび解析。装置システム、取り込みメソッド、解析メソッドを適切に選択できます。さらに、必要に応じてサンプル固有の情報を追加することで、サンプルごとのインテリジェントな取り込みと解析が可能になります。 

分析を登録すると、自動データ取り込みと解析が開始されます。次のデータ取り込みと並行してデータ解析が行われ、1 つ以上のサンプルから最大 5 つのピークのデコンボリューションが同時に得られます。結果をリアルタイムで確認して、取り込み続行の判断、あるいはメソッドの強化が必要かどうかを決定できます。

結果のレビューおよび報告

インタクト mAb スクリーニング実験の結果のダッシュボードビュー(図 7)には、48 回注入したプレートの結果がまとめられています。6 種類の抗体を「実験方法」の説明通りに調製し、1 抗体あたり 8 回繰り返しウェルで分析しています。解析メソッドでは、各抗体について、適切な平均ターゲット質量に対して検索が行われます。

サンプルプレートに表示されている色付きフラグは、分析したサンプルのステータスを反映しており、ターゲット質量が確認されたかどうか、および製品の純度仕様のいずれかを超過しているかどうかが反映されます。これらの実験では、純度基準は指定されていません。

図 7.  ダッシュボードの結果ビュー。結果は、6 種類の抗体の 8 回繰り返し注入(合計 48 回)を用いたインタクト mAb スクリーニング実験から得られたものです。サンプルプレートのカラーコードは、分析したサンプルの結果ステータスを反映しています。サンプルリスト内をクリックすると、個々のサンプルの結果の詳細を確認できます。 

緑色は、ターゲット質量にマッチさせた質量精度およびサンプルの予想純度を、スレッシュホールド設定に照らして測定した場合に、サンプルが合格であることを示します。オレンジ色は、質量誤差がスレッシュホールドを超えているか、サンプルの純度が予想よりも低いかのいずれかにより、警告が発せられたことを示します。赤色は、ターゲット質量に照らして測定された質量精度が大きすぎるか一致しない、および/または純度がスレッシュホールドを下回っていることを示します。

表 1 に、6 種類の抗体(NISTmAb、トラスツズマブ、インフリキシマブ、ベバシズマブ、リツキシマブ、オマリズマブ)の 8 回繰り返しに対応する 48 回の注入の、予想質量に照らして測定された質量誤差をまとめます。すべての注入についての質量精度は約 10 ppm で、各抗体についての繰り返し注入の標準偏差は 5 ppm 未満であることがわかりました。この表のデータは、INTACT Mass アプリケーションにより、高速インタクトマススクリーニングプロジェクトで一貫した有用な結果が得られることを示しています。

表 1.  6 種類の抗体の 8 回繰り返し注入に対応する 48 回の注入の質量精度のサマリー

NISTmAb サンプル(概要中のサンプル 5)を例として、個々のサンプル情報と自動生成されたレポートにアクセスできます(図 8)。

図 8.  48 ウェルサンプルプレートからのサンプル 5 (NISTmAb)のレポート。レポートには、実験情報、波形解析されたピークが記録された TIC クロマトグラムおよび TUV クロマトグラム、同定成分とそれらに割り当てられた修飾、および質量精度計算値と純度情報が含まれています。また、生スペクトルデータおよびデコンボリューション済みスペクトルデータも、フォーマット済みのレポート中に視覚化されています。 

48 ウェルプレートのサンプルセットからのサンプル 5(NISTmAb 注入)の実験結果を図 8 に示します。この分かりやすい標準レポートテンプレートには、波形解析されたピークを含む TIC クロマトグラムおよび TUV クロマトグラム、同定されたターゲット成分とそれらに割り当てられた修飾、質量精度計算値とサンプル純度、並びに生スペクトルとデコンボリューション済みスペクトルなどの情報が含まれています。自動化 MaxEnt1 設定を使用することで、さまざまなサンプルに適用できる可能性のある単一のプラットホームの取り込みおよび解析メソッドが容易になりました。NISTmAb サンプル 5 の場合、上位 5 種の主要なグリコフォームの質量精度測定値は約 10 ppm でした。同様のグリコフォーム質量精度が、トラスツズマブ、インフリキシマブ、ベバシズマブ、リツキシマブ、オマリズマブの各サンプルで認められました(データは示しません)。

同定成分の相対比(ベースピークに対して)も計算され、繰り返しサンプル全体にわたって一貫していることが分かりました(データは示しません)。TIC、TUV、MS データから得られたその他の定量情報も、サンプル中心のレポートの表で確認できます。

インタクト mAb ハイスループット分析実験に加えて、Waters mAb (NISTmAb)サブユニット標準試料を使用して、IdeS 消化 mAb サブユニット分析実験も実施しました。これにより、複数の分析種を含むサンプルで、自動クロマトグラフィーピーク検出およびスペクトルデコンボリューションの機能を表示する機会が得られます。 

図 9.  Waters mAb(NISTmAb)サブユニット標準試料の結果。TIC クロマトグラムおよび TUV クロマトグラムにおいて、scFc、LC、Fd サブユニットの 3 つの主要ピークが 3 分間のグラジエント LC-MS 分析で分離されていることがわかります。割り当てられた 25 kD サブユニットとその修飾の質量精度は約 5 ppm 以内でした。3 つのサブユニットの TIC ピークを合わせてピーク純度を計算したところ、99.1% が得られました。サブユニットの生スペクトルおよびデコンボリューション済みスペクトルを下のパネルに示します。

Waters NISTmAb サブユニット標準試料の分析には、新発売の ACQUITY Premier Protein BEH C4 カラム(300 Å、1.7 µm、2.1 mm × 50 mm、Waters 製品番号:186010326)を使用し、3 分間の LC グラジエントで取り込みを行いました。scFc、LC、Fd の各サブユニットの 3 つの主なピークは、移動相として 0.1% ギ酸水溶液および 0.1% ギ酸アセトニトリル溶液を使用して分離され、平均質量誤差は約 5 ppm であることが分かりました。3 つのサブユニットの TIC ピーク面積を合わせてピーク純度を計算したところ、99.1% であることが分かりました。

インタクトプロテイン LC-MS データの解析を自動化する機能は、特に多数のサンプルにこのような試験を実施する場合に、この方法を使用してサンプルのスクリーニングや属性のモニタリングを行うラボの効率を向上させるための鍵になります。1 回の分析で多様なサンプルセットを分析できるプラットホーム分析法を作成する機能は、このような課題が一般的な探索研究機関だけでなく、多数のサンプルのバルク分析をグループ化することによって、運用の簡素化を模索している中核的なラボにもメリットがもたらされます。規制対応プラットホームで、効率的な分離、頑健でシンプルな検出器、自動取り込み/解析を組み合わせることにより、特に以前はこのような分析法の展開が困難であった製造および品質管理の部門でも、このアプローチのより広範な展開が可能になると考えられます。 

結論

  • waters_connect INTACT Mass アプリケーションにより、規制環境および非規制環境で展開可能な、バイオ医薬品のデコンボリューション済み質量データの取り込み、解析、レポート作成のための合理化された統合ワークフローを促進できます。
  • このアプリでサポートされている分析ワークフローには、ターゲット質量確認、ノンターゲットプロファイリング、および光学、TIC、または質量スペクトルのアプローチを使用した純度評価が含まれます。
  • クロマトグラフィーピーク検出の自動化と、MaxEnt1 および BayesSpray のデコンボリューションアルゴリズムにより、単一のサンプルセット内の多様な分子セットにわたって調べるためのプラットホームベースの分析法の開発が可能になると共に、サンプル固有の仕様に照らして比較する機能も保持されます。
  • この試験では、waters_connect INTACT Mass アプリケーションにより、迅速脱塩 LC-MS 分析法を使用して 48 サンプルプレートで繰り返し分析した 6 種の市販 mAb の評価で低 ppm の質量確認データが得られ、高速グラジエント分離の対象となる IdeS 消化および還元 NISTmAb サブユニットサンプルのマルチクロマトグラフィーピークが得られました。 

参考文献

  1. Ferrige, A., et al.Disentangling Electrospray Spectra with Maximum Entropy, Rapid Commun.Mass Spectrom, 6(1992), pages 707–711.
  2. Skilling, J., et al.Beyond MaxEnt Deconvolution: Increasing the Fidelity and Universal Applicability of Mass Spectral Deconvolution Routines for Biomolecules with the Application of Bayesian Probability Theory Analytical Chromatography, Waters Poster 720003756, 2010.
  3. Berger.S. Boyce, P., Beyond INTACT Mass Application within waters_connect, Waters Vblog, 2022.https://blog.waters.com/automating-intact-mass-deconvolution-its-about-time
  4. Doneanu, C., et al.LC-MS Analysis of Single Guide RNA Impurities Using the BioAccord System with ACQUITY Premier and Automated waters_connect INTACT Mass Application, Waters Application Note, 720007546, 2022. 

720007547JA、2022 年 2 月

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