ACQUITY UPLC I-Class/Xevo TQ-S micro を用いた体系的毒性学スクリーニング

Xevo TQ-S micro を使用して、以前に発表された分析法の性能を評価します。

アプリケーションのメリット

さまざまな生体マトリックス中の化合物の法中毒学スクリーニングのための、シンプルで高感度な UPLC-MS 分析法。

法中毒学ラボにおいては、生前や死後に採取した検体など非常に複雑な生物学的マトリックス中において、広範囲の薬毒物を検出できる信頼性の高いスクリーニング手法が要求されます。元のウォーターズの体系的毒性学スクリーニング分析法では、Waters Alliance 2695 セパレーションモジュールと、Waters/Micromass ZQ シングル四重極質量分析計を組み合わせて使用しました¹。2009 年に、このアプローチが ACQUITY TQD システムに移行され、同等の包括的な毒性学スクリーニング機能の実行時間を 50% 短縮できました²。 このソリューションの開発はその後数年間にわたってさらに行われ、15 分間で 950 を超える薬物およびその代謝物をスクリーニングできるフルスキャンスクリーニング分析法および関連する毒性学ライブラリーが開発されました。この分析法は、世界中の毒性学ラボで日常的に使用され、成果を上げています^3,4。 この分析法は好評であったため、2013 年に、このソリューションは ACQUITY UPLC I-Class システムおよび Xevo TQD に移管されました⁵。 Xevo TQ-S micro の発売により、この優れたソリューションのさらなる進化が実現しました⁶。

試験物質

Bio-Rad S10 Liquichek 尿毒性学品質管理用のヒト尿は、Bio-Rad（英国、ヘメル・ヘムステッド）から入手しました。 

サンプル前処理

レファレンス尿（250 µL）は簡単な液-液抽出プロトコルを使用して抽出されました。上部の有機層を除去し、有機溶媒を蒸発させた後、サンプルを 50 µL の移動相 A に再溶解し、Waters トータルリカバリーバイアルに移しました。

ACQUITY UPLC I-Class システムと Xevo TQ-S micro を組み合わせることで、この確立された UPLC-MS スクリーニング分析法を最新世代の Waters 質量分析計で使用できるようになります。

この手法では、さまざまなコーン電圧でのイオン源内衝突誘起フラグメンテーションを使用し、その後 ChromaLynx アプリケーションマネージャーを使用してライブラリー検索を行います。以前に行われた Xevo TQ-S micro を使用した薬物の混合物の分析では、同等のフラグメンテーションパターンを生成するために必要なコーン電圧が、前世代の質量分析計（Xevo TQD など）で使用されたコーン電圧よりも高いことが示されたため、修飾ライブラリーを作成し、評価を行いました。図 2 は、2 つのプラットホームで得られたスペクトルの比較を示しています。Xevo TQ-S micro の各ファンクションでコーンに印加されている追加の 30 V が強調表示されています。

抽出された尿サンプルに関して、ChromaLynx 結果ブラウザーで得られた情報を図 3 に示します。

Xevo TQ-S micro は、迅速で信頼性が高く再現性のあるデータを提供し、広いダイナミックレンジにわたって一貫した低レベルの定量を実現できるように設計されたタンデム質量分析計です。取り込みメソッドを変更して、イオン源で適用されるさまざまなエネルギーを考慮することで、非常に優れた体系的毒性学スクリーニング分析法を Xevo TQ-S micro に移管できることを示しました。変更されたライブラリーにより、Xevo TQ-S micro プラットホームは、以前の Waters MS プラットホームと同等の高レベルで機能します。Xevo TQ-S micro は毒性学で使用する非常に汎用性の高い装置であり、同じ装置プラットホームで、幅広い定性フルスキャン MS 機能とターゲット MRM ベースのスクリーニング機能の両方を提供するだけでなく、高感度の定量検出も可能です。

1. Humbert L, Lhermitte M, and Grisel F. General Unknown Screening for Drugs in Biological Samples by LC/MS.2007. Waters Application Note, 720001552EN.
2. Lee R, Roberts M, Paccou A, and Wood M. Development of a New UPLC/MS Method for Systematic Toxicological Analysis.2009. Waters Application Note, 720002905EN.
   
3. Humbert L, Grisel F, Richeval C, and Lhermitte M. Screening of Xenobiotics by Ultra-Performance Liquid Chromatography-Mass Spectrometry Using In-Source Fragmentation at Increasing Cone Voltages: Library Constitution and an Evaluation of Spectral Stability. Journal of Analytical Toxicology 2010; 34: 571–580.
4. Rosano T, Wood M, and Swift T. Postmortem Drug Screening by Non-targeted and Targeted Ultra-Performance Liquid Chromatography-Mass Spectrometry Technology. Journal of Analytical Toxicology 2011; 35: 411–423.
5. Roberts M and Wood M. Forensic Toxicology Screening Using the ACQUITY UPLC I-Class System with the Xevo TQD.2013. Waters Application Note, 720004602EN.
6. Xevo TQ-S micro Product Brochure.2014. Waters Marketing Brochure, 720005046EN.

これは分析法の概念実証であり、記載された設定で達成できる一般的な結果の例が含まれていることがあります。この分析法は、ユーザーが社内バリデーションを実施するための基本的な出発点となります。