このアプリケーションノートでは、金属製カラムハードウェア(フリット)への吸着によるオリゴヌクレオチドの損失の原因について説明します。オリゴヌクレオチド分析の改善に使用されるソリューション、カラム、およびベストプラクティスを提供しています。
核酸ベースの療法は、新種の治療用化合物です。これには、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)1、サイレンシング二本鎖 RNA (siRNA)2、マイクロ RNA (miRNA)3、さらにワクチンとして使用できるメッセンジャー RNA(mRNA)やプラスミドなどの高分子バイオポリマーなどが挙げられます4。このアプリケーションノートでは、主に治療用オリゴヌクレオチドに焦点を当てています。
治療用オリゴヌクレオチド(一般的に 15 ~ 35 mer)は、化学合成によって調製されます。品質管理および特性評価は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)、または陰イオン交換クロマトグラフィー(AEC)を使用して行います5。 最近では、イオン対逆相液体クロマトグラフィー(IP RP LC)が、オリゴヌクレオチドの LC および LC-MS 分析における最適な方法となっています1,6。 IP RP LC-MS は、ASO 治療用および siRNA 治療用の化合物の高感度分析に適用できます。
オリゴヌクレオチドの IP RP LC 分離は、疎水性アミンと酸で構成されるイオン対移動相を用いて行われます7-9。 有用なイオン対移動相の例として、酢酸(酢酸ヘキシルアンモニウム、HAA)で pH を 7~9 に調整した 25 mM ヘキシルアミンが挙げられます。逆相カラムからのオリゴヌクレオチドの溶出は、アセトニトリルまたはメタノールのグラジエントによって行います。カラム温度は通常 60℃ に設定し、オリゴヌクレオチドの二次構造とそれが LC 分離に与える影響を排除します10。 分析に使用されるアルカリ性の pH および高温は、シリカベースのクロマトグラフィーカラムの寿命に悪影響を及ぼします。したがって、オリゴヌクレオチドの IP RP LC 分離には、エチレン架橋型ハイブリッド(BEH)カラムなどの有機/無機ハイブリッド固定相を推奨します11。 アルカリ移動相を使用する場合、BEH カラムは、従来のシリカカラムよりもはるかに安定しています12。
超高性能の UPLC カラムにより、対象のオリゴヌクレオチドを、短い合成不純物やオリゴヌクレオチド代謝産物から分離することができます。N/N-1 分離を、21/20 mer オリゴヌクレオチドにおいてルーチンで達成しています13。 核酸が長くなるほど、分離が徐々に困難になります14,15。 粒子径 2 μm 以下のカラムでは、浅いグラジエントを使用して最大 60 mer のオリゴヌクレオチドを分離することができます16。 これは、ほとんどの ASO および siRNA に適用するのに十分な分離能です。
AEC および IP RP LC によるオリゴヌクレオチド分析の原理はよく理解されています。ただし、核酸解析分野の専門家は、オリゴヌクレオチドの分析と定量を妨げる非特異的吸着の問題があることを認識しています17。 負電荷を持つ核酸は、ステンレススチールやチタンなどの金属表面、正確には金属表面に存在する酸化膜と相互作用(キレート化)することが知られています18,19。 金属面への吸着は、ピークのテーリング、回収率低下、サンプルキャリーオーバーの原因になる可能性があります20。 このような挙動は、それまでオリゴヌクレオチドサンプルに曝露していなかった新しいカラムを使用した場合に最も顕著であり、サンプル注入に数回曝露することで徐々に減少します。
一部のラボでは、上記の効果を緩和するために LC システムおよびカラムをコンディショニングするプロトコルを開発しています。多くの場合、LC システムのコンディショニングは、希釈したリン酸を使用した装置洗浄を用いて行います。通常、クロマトグラフィーカラムのコンディショニングでは、対象のオリゴヌクレオチドを分析する前に、オリゴヌクレオチドサンプルの一部を犠牲にして、繰り返し注入を行っていきます。微量分析においては、pmol レベル以下のサンプルを分析する際に、金属表面への吸着によるサンプル損失の問題が最も顕著になります。
オリゴヌクレオチド、リン酸化ペプチド、低分子有機リン酸など、金属表面に強い親和性を示すことが確認されている分析種との非特異的金属の相互作用を最小限に抑えることを目的として、カラムハードウェア用に Waters MaxPeak High Performance Surfaces(HPS)が開発されました。MaxPeak HPS を使用して構築した MaxPeak Premier カラムハードウェアは、流路の金属表面とサンプルの間にバリアを形成することで、分析種とカラムハードウェアの間の相互作用が最小限に抑えられます。このアプリケーションノートでは、ACQUITY Premier Oligonucleotide BEH C18 カラムを使用して得られるオリゴヌクレオチドの分析の改善点について説明します。LC システムの最適化における注意点については、別のアプリケーションノートで説明します。
25 mer のホスホロチオエート(PS)オリゴヌクレオチド CTC TCG CAC CCA TCT CTC TCC TTC T、分子量 7776 Da(GEM 91)を、水性移動相バッファーに 2 pmol/μL の濃度で溶解しました。1 μL(2 pmol)のサンプルを 20 ~ 90 回注入しました。
装置: |
ACQUITY UPLC H-Class Bio、39 mer オリゴデオキシチミジン 500 pmol でコンディショニング済み |
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データ管理: |
Empower 3.0 ソフトウェア、MISER 実験は FTN サンプルマネージャーファームウェア 1.65.356 (MISER_HT_V13)でサポートされます。FTN 装置のメソッドコメント画面で、注入回数、注入頻度、ギャップのタイミングなどの具体的な MISER コマンドを指定しました。 |
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分析条件 |
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カラム: |
MISER 実験にはカラムを使用していません。代わりに、ホルダーに入った 2.1 mm UPLC カラムフリットを、流路のインジェクターの後、検出器の前に配置しました。対照実験では、フリットの入ったホルダーの代わりに PEEK ユニオン(金属を含まない流路)を配置しました。 |
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移動相 1: |
10 mM 酢酸ヘキシルアンモニウム(HAA)水溶液バッファー(pH 7) |
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移動相 2: |
10 mM 酢酸アンモニウム(AmAc)水溶液バッファー(pH 4.5) |
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移動相 3: |
10 mM 酢酸アンモニウム(AmAc)水溶液バッファー(pH 5) |
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移動相 4: |
10 mM 酢酸アンモニウム(AmAc)水溶液バッファー(pH 6) |
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移動相 5: |
10 mM 酢酸アンモニウム(AmAc)水溶液バッファー(pH 7) |
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移動相 6: |
10 mM 酢酸アンモニウム(AmAc)水溶液バッファー(pH 8) |
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アイソクラティック条件: |
指定した移動相で 0.2 mL/分 |
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実験温度: |
25 ℃ |
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検出(UV): |
260 nm PDA、5 μL のチタン製検出セル |
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注入量: |
1 μL |
サンプル前処理:
MassPREP オリゴヌクレオチド標準試料(製品番号: 186004135)には、15、20、25、30、35 mer のオリゴデオキシチミジン 1 nmol が含まれています。バイアルの内容物を 200 μL の脱イオン水に溶解し、最終濃度を 5 pmol/μL としました。このサンプルの 2 μL(10 pmol)をカラムに注入しました。
装置: |
ACQUITY UPLC H-Class Bio、39 mer オリゴデオキシチミジン 500 pmol でコンディショニング済み |
データ管理: |
Empower v3.0 ソフトウェア |
分析条件 |
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カラム: |
ACQUITY Premier Oligonucleotide C18、130 Å、1.7 μm、2.1 × 50 mm(製品番号:186009484) |
移動相 A: |
25 mM HAA 水溶液(酢酸で pH 6、7、8.5 に調整) |
移動相 B: |
移動相 A 50%、アセトニトリル 50%(v:v) |
カラム温度: |
60 ℃ |
検出(UV): |
260 nm PDA、チタン製 5 μL |
注入量: |
2 μL |
MISER 実験における相対回収率は、観察されたオリゴヌクレオチドのピーク面積から推定されました。PEEK ユニオンを使用するか、あるいは余分なオリゴヌクレオチドサンプルで ACQUITY Premier Oligonucleotide BEH C18カラムをコンディショニングした後に、回収率 100% を表すピーク面積が得られました。
OST MassPREP 標準試料については、39 mer オリゴヌクレオチド 500 nmol を 1 回または複数回注入してカラムをコンディショニングした後に得られたピークシグナルにより、回収率 100 % とみなされました。
最初の実験では、コンディショニングした ACQUITY UPLC H-Class Bio システムを用いて、25 mer のホスホロチオエート(PS)オリゴヌクレオチドの吸着による損失を評価しました。実験の目標は、UPLC カラムハードウェアで使用しているものと同じ 2.1 mm ステンレススチール製フリットによる分析種の損失を推定することでした。フリットが入っているアウトレットは、内径 75 μm x 40 cm の PEEK チューブを使用して PDA 検出器のセルに接続されています。この実験にはクロマトグラフィーカラムは使用していません。
1 回の実験での多重注入(MISER)によるデータ取り込み法21を採用しました。1 回の実験で、25 mer のオリゴヌクレオチドを最大 90 回注入しました。注入間隔は 30 秒で、10 回注入するごとに 30 秒のギャップを挿入することで、結果の視覚化が改善されました(図 1)。最初の試験では、10 mM 酢酸ヘキシルアンモニウム(HAA)水溶液(pH 7)の移動相を使用しました。図 1A の赤色のクロマトグラムは、PEEK ユニオンでの 20 回のオリゴヌクレオチドサンプル注入を示しています。一貫したピーク高さが観察されました。図 1A のピーク面積は、オリゴヌクレオチド回収率 100% を示しています。次に、PEEK ユニオンを内径 2.1 mm のステンレススチール製フリットが入ったホルダーに交換して、同じサンプルを 50 回注入しました。図 1B のクロマトグラムは、フリット表面上への吸着によるオリゴヌクレオチドサンプルの損失を示しています。最初はピークが低く、その後の注入では高くなっています。これは、金属フリットの有効吸着部位が、余分なサンプルで徐々に飽和するためです。この効果は、LC システム/カラムコンディショニングと呼ばれています。図 1A の実験の平均ピーク面積を使用して、図 1B のステンレススチール製フリットによる分析種の損失を定量しました。50 回目のオリゴヌクレオチド注入の回収率は 71% でした。50 回の注入後にピークシグナルがプラトーに達しました。その後の注入ではピーク面積の改善はわずかでした(データは表示されていません)。
2 つ目の試験では、移動相の pH の影響としてのオリゴヌクレオチド吸着を調査しました。移動相には、酢酸または水酸化アンモニウムで異なる pH 値に調整した 10 mM 酢酸アンモニウム水溶液を使用しました。ここでも、内径 2.1 mm のステンレススチール製フリットで、各 pH 実験ごとに新しいフリットを使用して観察を行いました。図 2 に示す結果は、オリゴヌクレオチドの損失が酸性の pH でより顕著であることを示しています。オリゴヌクレオチドの分離に一般的に使用する pH 7 ~ 8 の条件では、サンプル損失はそれほど顕著ではありませんが、いずれの実験条件においても、最初の 10 ~ 20 回の注入ではこの問題は解消されていません。図 2 で得られたデータを使用して、各 pH 実験の最初の 50 回の注入におけるオリゴヌクレオチドの累積損失を推定しました。損失は、ステンレススチール製フリットでの各注入についてのピーク面積(Aフリット)と、PEEK ユニオンを使用した対照実験で得られた面積 Aピーク から計算しました。
累積のオリゴヌクレオチド損失は、pH 5、pH 6、pH 7、pH 8 の各実験でそれぞれ 39.9、24.1、13.8、7.4 pmol でした。この推定値は、LC システム/カラムコンディショニングに関する重要なガイドラインとなります。オリゴヌクレオチド分析の熟練者は、対象サンプルを分析する前に、オリゴヌクレオチドサンプルの一部を犠牲にして、一連の注入を行うことがよくあります。累積回収率の結果から、pH 7 ~ 8 の移動相で効率的なコンディショニングを行うには、UPLC システムおよびカラムを、10 pmol を超えるサンプル量(できれば 100 pmol を超えるサンプル量)でコンディショニングすべきであると結論付けることができます。10 mM HAA バッファーまたは 10 mM トリエチルアンモニウム酢酸(TEAA)バッファーを用いた実験では、オリゴヌクレオチド吸着の程度はほぼ同等でした(データは表示されていません)。
図 1 および図 2 を詳しく調べることで、LC 装置およびカラムのサンプルコンディショニングを行う際に検討すべき重要な情報が明らかになります。まず、繰り返し注入を多数回行っても、分析種のシグナルは完全な 100% 回収には達しません。次に、pH 5 での一連の試験(図 2)で見られる回収率の「低下」は、コンディショニングの効果が恒久的ではなく、一過性であることを示しています。この低下は、10 回の注入の後に挿入した時間のギャップの後に発生しています。延長洗浄中に、フリット表面に吸着した分析種の一部が余分な移動相によって洗い流されます。この「脱コンディショニング」現象は図 2 のすべての実験で発生していますが、pH 5 で最も顕著です。この脱コンディショニング現象は、10 mM 酢酸アンモニウム(pH 4.5)の移動相を使用して得られた図 3 の結果でより詳細に示されています。図 3 から、洗浄し過ぎるとフリットのさらなる脱コンディショニングにつながることが明らかになっています。金属フリット表面から分析種が徐々に除去されていることも、ピークのテーリングに表れています。
ステンレススチール製ハードウェアを完全にコンディショニングし、サンプル注入を 50 回行った後でも 100% 回収を達成することが困難な理由は、金属表面からの分析種の流出にあります(図 1B を参照)。フリットに吸着された分析種は、実験中に継続的に洗い流されます。サンプルの流出は、オリゴヌクレオチド分析における予期せぬ高レベルのサンプルキャリーオーバーの原因になる可能性があります。新しいカラムを取り付けた後、または LC システムを完全に洗浄した後に、サンプルシグナルが突然減少する理由が、カラムのコンディショニングによって説明できます。このような事象が発生した場合は、コンディショニングのプロトコルを繰り返して、以前に確立した検量線と一致する結果を得ることを推奨します。
図 1 ~ 3 に示されたデータは、金属製の LC の部品に対する非特異的なサンプル吸着により、オリゴヌクレオチドの LC 分析が複雑になる可能性があることを示しています。この現象は、特に高感度 LC-MS 分析における定量分析に影響を及ぼします。非特異的吸着はステンレススチール表面に限られず、チタンや非鉄金属合金でさまざまなレベルのサンプル損失が観察されました(データは表示されていません)。これらのサンプル損失に対処するために、ウォーターズでは、MaxPeak High Performance Surfaces を開発しました(MaxPeak Premier カラムで採用)。このテクノロジーは、金属表面に共有結合で固定化したハイブリッドシリカの、高度に架橋した組成物からなるバリア層を有するハードウェアを利用しています。[Lauber et al、ウォーターズホワイトペーパー、720006930EN、2020 年] HPS テクノロジーを使用して、フリットを含むカラムハードウェアを恒久的に不活性化しています。MaxPeak Premier カラムは、多くのラボで使用されている一過性のカラムコンディショニングプロトコルのための優れたソリューションを提供します。
高分離能オリゴヌクレオチド分析用に、ACQUITY UPLC Oligonucleotide BEH C18 カラムを選択しました。このカラムには、中性から弱塩基性の pH および高温での分離に適した 1.7 μm のハイブリッドシリカ粒子が充塡されています。ACQUITY Oligonucleotide BEH C18 カラムはステンレススチール製のハードウェアを使用するため、金属表面への吸着によりサンプル損失が発生する可能性があります。一方、ACQUITY Premier Oligonucleotide BEH C18 カラムは、同じ粒子が充塡されているうえ、MaxPeak HPS カラムハードウェアを採用しています。 これら 2 種類のカラムを、以下の研究で比較しています。
図 4 は、従来の ACQUITY UPLC ステンレススチールと MaxPeak Premier ハードウェアカラムの性能の比較を示しています(どちらも同じクロマトグラフィー粒子を充塡しています)。予想通り、ステンレススチール製カラムでは一過性のコンディショニングを行うまで、最初の数回の注入においてサンプルの若干の損失が観察されました。MaxPeak Premier カラムでは顕著なサンプル損失は観察されませんでした。最初のサンプル注入からほぼ完全なオリゴヌクレオチド回収が認められました。
前述のように、pH の選択は実験上の重要な考慮事項です。高 pH では、従来のカラムハードウェアでもオリゴヌクレオチドの回収率が向上します。ただし、pH の選択は以下の 2 つの要因によって制限されます。まず、塩基性 pH ではカラムの安定性が低下し、高 pH ではカラム寿命が短くなることが予測されます。次に、イオン対保持メカニズムが、移動相添加剤であるアミンのプロトン化による効果的なイオン対形成に依存しています。逆相カラムでの保持には、オリゴヌクレオチドとプロトン化アミンのイオン対形成が必要になります。イオン対試薬に適するアミンのほとんどは pKa 値が約 10.5 であるため、pH 値が 9.5 を超える移動相では電荷が徐々に減少し、オリゴヌクレオチドの保持と分離が低下します。pH 値が 8.5 を超える移動相を使用するオリゴヌクレオチドのイオン対逆相分離は推奨しません。
未使用の カラム 6 本について、3 つの異なる pH 値で 30 mer のオリゴデオキシチミジンの回収率測定を行いました。pH 6、7、8.5 に調整した 25 mM HAA バッファーシステムを使用して、従来のステンレススチール製カラムと ACQUITY Premier カラムを比較しました。LC システムも、ハードウェアの部品に対する非特異的吸着により、分析種損失の原因となり得ることを考慮することが重要です。図 5 に示す実験は、コンディショニングされた LC システムで実施して、これらの交絡効果を最小限に抑えました。この実験で観測された回収率を図 5 に示します。予測どおり、pH を高くすることで、分析種の損失を軽減できます。ただし、ステンレススチール製カラムの場合、pH 8.5 でも回収は不完全なままです。これに対し、MaxPeak Premier カラムでは、pH 6 ~ 8.5 の 範囲でほぼ完全な回収率が実現されます。MaxPeak Premier カラムを使用した場合に認められる微量の分析種損失は、LC システムハードウェアの不完全なコンディショニングが原因である可能性があります。
このアプリケーションノートでは、高感度オリゴヌクレオチド分析を実現するためのベストプラクティスを提案しています。ステンレススチール製のカラムハードウェアが、オリゴヌクレオチドの非特異的吸着の大きな原因となっていることが実証されました。サンプル注入を繰り返すと、カラムおよび LC 装置の金属表面が徐々にコンディショニングされます。しかし、このコンディショニングは一過性のものであることが認められました。サンプルは LC システム(およびカラム)の金属表面から徐々に脱吸着され、移動相の洗浄によってハードウェアが部分的に脱コンディショニングされていました。
移動相の pH は重要な実験上のパラメーターです。高 pH によりオリゴヌクレオチドサンプルの回収率が改善しますが、この解決法はそれほど効果的ではありません。
最近導入された MaxPeak HPS テクノロジーは、金属表面とオリゴヌクレオチドの間の望ましくない相互作用を最小限に抑える有望なアプローチです。この新しいテクノロジーを取り入れた ACQUITY Premier カラムが、オリゴヌクレオチド分析の改善のために利用できるようになりました。この新しいテクノロジーを採用することで、従来の LC-UV アプリケーション、特に高感度 LC-MS 分析において、オリゴヌクレオチド分析の品質と再現性を改善させることができます。
720007012JA、2020 年 9 月