法中毒学目的のみに使用してください。
この試験の目標は、尿サンプル中の禁止されている利尿薬および β 遮断薬を同時に同定してアンチ・ドーピングラボをサポートすることです。
ミックスモード SPE および ACQUITY UPLC I-Class/Xevo TQ-S micro システムを使用することにより、アンチ・ドーピング目的での、尿中の利尿薬および β 遮断薬のきれいで迅速かつ効率的な抽出および分析が可能になりました。Oasis MAX µElution プレートにより、20 種の β 遮断薬と 20 種の利尿性化合物の抽出が可能になりました。希釈済みサンプルと比較して、マトリックス効果が大幅に低減していました。Xevo TQ-S micro は、すべての分析種を 4 分以内に正確に同定する速度および感度を備えており、MRPL の 20% という WADA の厳格なイオン比基準も満たしています。スキャン間の極性切り替えを迅速に行える機能により、1 回の注入での分析が可能になり、陽イオン性化合物と陰イオン性化合物の連続注入と比較して、時間を節約し、装置の摩耗を削減することができます。これにより、UPLC-MS/MS システムをよりきれいに維持できると同時に、これらの化合物を迅速かつ正確に分析できるようになります。
固相抽出および迅速な極性切り替えにより、禁止されている利尿薬および β 遮断薬のきれいで迅速かつ効率的な分析が可能になります。
利尿薬と β 遮断薬はいずれも、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)によって禁止されています¹。これら 2 種類のクラスの分子は化学的に異なるにもかかわらず、多くのアンチ・ドーピングラボでは、ワークフローの都合で、これらの分子を一緒に分析することが好まれています2-4。 β 遮断薬はポジティブエレクトロスプレーイオン化(ESI)条件でイオン化する塩基性化合物であり、利尿薬は主にネガティブ ESI 条件でイオン化する酸性化合物です。これには多くの場合、ポジティブモードに続くネガティブモードの LC-MS による順次分析が必要です。さらに、これらの化学的な違いにより SPE 吸着剤が広範囲の極性とケモタイプに対応できる必要があるため、同時抽出が難しくなります。
上記の課題は、Oasis MAX µElution プレートを使用することで解決され、尿サンプルから利尿薬と β 遮断薬を効率的かつきれいに抽出できるようになりました。これに続いて、Waters ACQUITY UPLC I-Class システムと Xevo TQ-S micro 質量分析計を使用して、UPLC-MS/MS 分析を行いました。分離は Waters ACQUITY UPLC CSH C18 カラム(1.7 µm、2.1 × 100 mm)で行いました。移動相は 0.01% ギ酸(MPA)とアセトニトリル(MPB)で構成しました。
化合物およびそれらの保持時間を表 1 に示します。すべての化合物が 4 分以内に溶出し、UPLC サイクル全体にかかった時間は 5 分でした(図 1)。すべての化合物について、2 ~ 3 の MRM トランジションを取り込みました。Xevo TQ-S micro の迅速な極性切り替えにより、24 種の陽イオン性化合物と 18 種の陰イオン性化合物を同時分析しながらも、このような高速で効率的なクロマトグラフィーが可能になりました。
ESI ポジティブ |
名称 |
|
R.T. |
ESI ネガティブ |
|
---|---|---|---|---|---|
1 |
ソタロール |
0.56 |
24 |
アセタゾラミド |
1.13 |
2 |
アテノロール |
0.58 |
25 |
クロロチアジド |
1.22 |
3 |
アミロライド |
0.57 |
26 |
ヒドロクロロチアジド |
1.31 |
4 |
カルテオロール |
0.93 |
27 |
ヒドロフルメチアジド |
1.66 |
5 |
ピンドロール |
0.94 |
28 |
ジクロルフェナミド |
1.9 |
6 |
ナドロール |
0.97 |
29 |
クロルタリドン |
1.94 |
7 |
トリアムテリン |
1.01 |
30 |
トリクロルメチアジド |
2.22 |
8 |
チモロール |
1.2 |
31 |
メチクロチアジド |
2.33 |
9 |
アセブトロール |
1.23 |
32 |
メトラゾン |
2.53 |
10 |
メトプロロール |
1.24 |
33 |
フロセミド |
2.67 |
メトプロロール-d7 (IS) |
1.24 |
フロセミド-d5 (IS) |
2.66 |
||
11 |
レボブノロール |
1.3 |
34 |
インダパミド |
2.73 |
12 |
エスモロール |
1.37 |
35 |
ベンズチアジド |
2.77 |
13 |
セリプロロール |
1.47 |
36 |
シクロチアジド |
2.84 |
14 |
オクスプレノロール |
1.48 |
37 |
ベンドロフルメチアジド |
2.94 |
15 |
ラベトロール |
1.57 |
38 |
ブメタニド |
3.33 |
16 |
ビソプロロール |
1.58 |
39 |
プロベネシド |
3.52 |
17 |
メチプラノロール |
1.68 |
40 |
エタクリン酸 |
3.64 |
18 |
プロプラノロール |
1.69 |
|||
19 |
アルプレノロール |
1.73 |
|||
20 |
ベタキソロール |
1.79 |
|||
21 |
クロパミド |
2.21 |
|||
22 |
カルベジロール |
2.08 |
|||
23 |
カンレノン |
3.5 |
Oasis MAX µElution プレートを使用して、固相抽出を次のように行いました:50 µL の尿サンプルを 5% 強アンモニア(1:1)で前処理、次に SPE プレートにロード、5:95 メタノール:水で洗浄、2% ギ酸含有の 75:25 メタノール:アセトニトリル 50 µL で溶出後、200 µL の水で希釈。すべての化合物について、回収は効率的でした。図 2 に、別々の 12 ロットの尿からの平均回収率を示します。アミロライド、クロパミド、カンレノンは、ポジティブ ESI によってイオン化する塩基性化合物であるため、β 遮断薬に分類しました。β 遮断薬(および塩基性利尿薬)の平均回収率は 85% で、1 種を除いてすべて 80% 以上であり、%RSD はすべて 20% 以内でした。利尿薬の回収率は 65 ~ 94% で、アセタゾラミドを除き %RSD はすべて 20% 以内でした。Oasis MAX µElution プレートを使用したことで、シンプルなサンプル希釈に関連するマトリックス効果が大幅に低減しました。図 3 からわかるように、マトリックス効果(特にイオン化抑制)は、1:10 希釈でさえも、多くの β 遮断薬についてほとんど無視できるレベルから最大 60% を超えるまで増大し、多くの利尿薬については 20 ~ 40% から最大 60 ~ 90% まで増大していました。1 因子 ANOVA 分析により、アセブトロール、メトラゾン、ブメタニド、プロベネシド、エタクリン酸以外のすべての化合物で、マトリックス効果が大幅に増大していることが明らかになりました。
すべての化合物で、WADA の最小要求性能限界レベル(MRPL)の 20%(β 遮断薬の場合 100 ng/mL、利尿性化合物の場合 200 ng/mL)であっても、容易に検出できました⁵。保持時間の許容誤差も十分 WADA の要件の範囲内でした⁵。分析スピードおよび極性切り替えの必要性があるにもかかわらず、MRPL の 20% であっても、すべての化合物について、確認における WADA のイオン比の基準が満たされていました⁶。
ミックスモード SPE および ACQUITY UPLC I-Class/Xevo TQ-S micro システムを使用することにより、アンチ・ドーピング目的での、尿中の利尿薬および β 遮断薬のきれいで迅速かつ効率的な抽出および分析が可能になりました。Oasis MAX µElution プレートにより、20 種のβ 遮断薬と 20 種の利尿性化合物の抽出が可能になりました。希釈済みサンプルと比較して、マトリックス効果が大幅に低減していました。Xevo TQ-S micro は、すべての分析種を 4 分以内に正確に同定する速度および感度を備えており、MRPL の 20% という WADA の厳格なイオン比基準も満たしています。スキャン間の極性切り替えを迅速に行える機能により、1 回の注入での分析が可能になり、陽イオン性化合物と陰イオン性化合物の連続注入と比較して、時間を節約し、装置の摩耗を削減することができます。これにより、UPLC-MS/MS システムをよりきれいに維持できると同時に、これらの化合物を迅速かつ正確に分析できるようになります。
720006516JA、2019 年 3 月