研究目的のみに使用してください。診断用には使用できません。
このテクニカルブリーフでは、事前設定済みのターゲット MRM 定性試験メソッドを使用した場合に Xevo TQ-S micro のレスポンスが向上することを説明しています。Xevo TQD で同じサンプルから収集したデータと比較すると、真陽性数の上昇が観察されました。ACQUITY UPLC I-Class/Xevo TQ-S micro は、臨床研究で使用するための非常に汎用性の高い装置であり、同じ装置プラットホームで、幅広い定性試験機能と、分析感度の高い定量検出の両方をユーザーに提供します。
さまざまな生体マトリックス中の化合物の、ターゲット臨床研究試験におけるシンプルで高感度な UPLC-MS/MS 分析法。
臨床試験ラボにおいては、生前や死後に採取した検体など非常に複雑な生体マトリックス中において、広範囲で薬毒物を検出できる信頼性の高い試験手法が要求されます。ACQUITY TQD システムを使用した、ウォーターズのターゲット臨床研究試験における分析感度アプリケーションが 2009 年に発表されました1。 このアプローチは、Rosano らによって、死後血サンプルのスクリーニング方法の比較に使用されています2。 このソリューションが成功した後、2013 年に ACQUITY UPLC I-Class および Xevo TQD システムに移管されました3。 Xevo TQ-S micro の発売により、このソリューションをさらに進化させることができます4。
ACQUITY UPLC I-Class と Xevo TQ-S micro を組み合わせることで、この確立された UPLC-MS/MS スクリーニング分析法を最新世代の Waters 質量分析計で使用できるようになります。
次記の市販のヒト尿のレファレンスコントロールを入手しました。Basis-line U は Medidrug(40201)、Blankcheck 尿(UR015)および DCT -25%(UR22020A)はいずれも ACQ Science、Urine Toxicology Control DAU HC2(50701)は UTAK、および Liquichek Urine Toxicology Quality Control(Negative Control(460)、C2(442)、および S10(673))は Bio-Rad から入手しました。
市販のレファレンス標準尿を移動相 A で 5 倍に希釈し、ボルテックス混合しました。遠心分離後、上清を Waters マキシマムリカバリーバイアルに移し、3 回の注入を分析しました。
システム: |
ACQUITY UPLC I-Class、FTN 搭載 |
カラム: |
ACQUITY UPLC HSS C18、100Å、 1.8 µm、2.1 mm × 150 mm(製品番号 186003534) |
カラム温度: |
50 ℃ |
サンプル温度: |
10 ℃ |
注入量: |
5 µL |
洗浄溶媒: |
アセトニトリル/水(95:5 v/v) |
パージ溶媒: |
5 mM ギ酸アンモニウム pH3.0 |
流速: |
0.4 mL/分 |
移動相 A: |
5 mM ギ酸アンモニウム pH3.0 |
移動相 B: |
0.1% ギ酸アセトニトリル溶液 |
システム: |
Xevo TQ-S micro |
イオン化モード: |
ESI+ |
キャピラリー電圧: |
3.0 KV |
イオン源温度: |
150 ℃ |
脱溶媒温度: |
400 ℃ |
脱溶媒ガス: |
800 L/時間 |
コーンガス: |
20 L/時間 |
コーン電圧: |
提供されている MRM 分析法で事前設定済み |
コリジョンエネルギー: |
提供されている MRM 分析法で事前設定済み |
このデータは、化合物ごとに 2 つのトランジション(定性および定量)を含む付属の MRM 分析法を使用して収集されたものであり、178 種の化合物のコーン電圧とコリジョンエネルギーに関連する事前設定パラメーターがあります。認定濃度の分析種を含む 3 種のネガティブコントロールのレファレンス尿(Basis-line U、Blankcheck、Negative Control)および 4 種のポジティブコントロールのレファレンス尿(C2、S10、DAU HC2、DCT -25%)を、上記の分析法を使用して分析しました。データは TargetLynx アプリケーションマネージャーを使用して自動的に解析されました。TQ-S micro のレスポンスが向上した結果、面積しきい値拒否パラメーターがわずかに増加しました。スクリーニング結果の同等性について、Xevo TQD プラットホームから得られたデータと比較しました。
多くの化合物が、両方のプラットホームのネガティブコントロールのレファレンス尿から検出されました。例えば、カフェインおよび市販薬に関連付けられているその他の物質が尿スクリーニングでルーチン検出されました。
認定ポジティブコントロールのレファレンス尿では、両方のプラットホームで、S10 レファレンス尿から同じ数の予想化合物が検出されました。Xevo TQ-S micro を使用して、C2 および DAU HC2 の尿サンプル中に、Xevo TQD で検出したのと同じ分析種を検出しました。さらに Xevo TQ-S micro では、C2 尿中のα-ヒドロキシアルプラゾラムおよび DAU HC2 尿中のロラゼパムが検出できました。
ベンゾジアゼピン類の分析感度がさらに高いことが、ACQ Science DCT -25% サンプルの分析を通して確認されました。図 2 には、Xevo TQ-S micro を使用して検出したその他 5 種のベンゾジアゼピンの詳細が示されています。この市販のレファレンス尿は、欧州職場薬物検査協会(EWDTS)が現在推奨している最大カットオフ濃度より 25% 低い濃度に相当する認定濃度の分析種を含んでおり、尿中の確認試験に用いられます5。ここで検出されたベンゾジアゼピンは、この尿中に 75 ng/mL で存在しています。
分析法が ACQUITY TQD システムから ACQUITY UPLC I-Class/Xevo TQD、さらには ACQUITY UPLC I-Class/Xevo TQ-S micro に進化するにつれて、ファンクションあたりの平均スキャン回数が増加しました。示されている MRM 分析法のデュエルタイム(10 ミリ秒)は変更されていないため、この増加は、新しいそれぞれの MS プラットホームに伴う電子設計の改善に起因すると考えられます。このファンクションあたりのスキャン回数の増加により、精度、再現性、および感度が向上します。
720005606JA、2023 年 3 月改訂